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21話 雨だれ

Author: 蒼良 美月
last update publish date: 2026-05-20 19:18:55

 新緑の息吹感じさせる匂いが、爽やかな風通り抜け香っていたのが、気づけばショパンと紫陽花のかほりに変わっていた。

 曇天続く中、珍しく今日は青空に黄色い太陽が笑っていた。

「桜井、バイオリン持った? 貴志、何時の飛行機って?」

「大丈夫です~~17時半に空港到着予定とは言ってましたが……直接会場に行くって」

「一応、天野先生にスタンバイはお願いしておくから。大丈夫きっと間に合うから!」

「天野先生もピアノ科の子達の面倒で申し訳ないです……」

 早いもので「夜宴」も今日でついに最終日を迎えていた。

 みんな凄い演奏で驚いた! と言うのが正直な感想だ。

 リハーサルなどで何度か他の人の演奏を耳にする機会はあったが、本番は練習と違って、あまりに出来映えの良さに圧倒された。

 よく「舞台には魔物が棲んでいる」と言われるが、その魔物が女神になってくれるように私は祈った。

「大丈夫。もしもの時は最悪俺が伴奏者務めるから、だから今は自分のことだけに集中してね?」

 高科先生……

 お父さんがいたら? こんな感じなんだろうか? お母さんがいたら?

 三歳の時に母が亡くなった。でも私には母と一緒に過ご
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